1周まわって、好きかもしれない。
ーー瞬間。
ぐいっと後ろに引かれたもう片方の腕。
驚いたお兄さんの腕の力が緩んで、私は大きな背中の後ろに隠された。
「恭介…」
恭介は何も言わずに目の前の2人を鋭く睨みつけていて。
「っ…行くぞ」
悔しそうな顔をして背を向けた1人を追いかけて、もう1人のお兄さんも去って行った。
「…平気?」
少しぶっきらぼうな言葉に、だけど心配そうな顔に。
頭より先に、心がきゅっと締め付けた。