1周まわって、好きかもしれない。
「にしても、あんなに可愛い幼なじみが隣にいて、この17年間何もなかったわけ?」
「…」
「あれ、あるんだ?」
ねえよ!と、ハッキリは言えない。
だって俺たちにも「結婚しようね」なんて言っていた幼少期があるから。
まあ、完全なる黒歴史だけど。
それにそんな昔の話、何かあったうちにも入らないんだろうけど。
凛子はどうせ、もう忘れてる。
「舜くん、ジュース飲む?」
ジュースとグラスを持って部屋に入ってきた母親に、舜も挨拶する。
「そう、さっき懐かしい動画見つけちゃって」
そう言ってビデオのディスクを見せる。
「舜くんも見る?
凛子ちゃんと恭介の幼稚園時代」
なんつーバッドタイミング。
舜が目を輝かせた。