1周まわって、好きかもしれない。
『へえ、珍しい』
帰ってきてから早速、「別れなかった」と穂果に報告すれば、そんな返答。
『やるね、ザッキー』
「それなぁ」
そんな電話をしながらふとベランダに出ると、
「あ、うわ……」
道路の方から聞こえたそんな声に目を向けると、金髪巻き髪の派手女。
「…げ」
思わず漏れた小さな声は、私も金髪女も同じ。
嫌い。大嫌い。
派手なだけなその金髪も、私のこと睨むケバい目も、きらい。
『どうかした?』
電話越しに声をかける穂果に、何でもないよ、と答える。
そして金髪女ににっこり笑って手を振って、部屋の中に入った。