1周まわって、好きかもしれない。
「はっ。
恋愛ゲームばっかりやって女に夢見てんじゃないわよ、このオタク」
蔑むような目に、殴りかかりたくなる気持ちを必死で抑える。
こんなヤツでも仮にも女だ、耐えろ自分。
「こういう時は、何があったのって聞くべきでしょ?なんで聞かないの?
だからモテないのよ」
聞きたくないから聞かないに決まってるだろ!?
そんな愚痴聞きたくないんだよ、察しろよ。
モテないのだって余計なお世話だ、この悪魔が。
「……聞かなきゃダメなの」
心の中でどれだけ悪態をついても、ほんの1割くらいしか口に出せない俺をヘタレだと笑えばいい。
「……は?」
「聞きたくないんだけど」
そう言ったのに、確かに言ったのに。
「アイツ、デート中に他の女の名前呼んだのよ?
私と他の女間違えるとか、意味分からない、イライラする」
……話すのかよ。
俺の言葉は華麗にスルーして結局愚痴をこぼしはじめる凛子。
こうなると小一時間は止まらないだろう。