1周まわって、好きかもしれない。
『あのね、わたし、恭介くんのこと……』
イヤホンから聞こえる、可愛すぎるアニメ声。
画面の中で恥ずかしそうに頬を赤く染めるゆりちゃん。
『好……』
ああ、俺も好きだよゆりちゃん!
やっとその言葉が聞けると、思ったその瞬間。
「ちょっと、聞いてる!?」
パッと耳から離されたイヤホンに、聞こえなくなるゆりちゃんの声。
「おまっ……なんてタイミングで…」
「人が話してるときにゲームなんかしてんじゃないわよ!」
だからって、だからって!
慌ててイヤホンを取り返して耳にはめるけど、もう『好き』の言葉は言い終わってしまっている。
こんの最低女……!