1周まわって、好きかもしれない。



「おお!きれーい!」



シュー、と音を立てて手持ち花火から光が飛ぶ。

暗闇にキラキラと輝くその光は、どうしてか少し切ない気持ちになったりして。




「夏が来たって感じするね」

「そうだな」




毎年の恒例。

凛子に彼氏がいる時もいない時も、お互いに忙しかった時も。


なんだかんだ毎年やっているこの花火。




「ねえ、恭介」


「んー」



パチパチ、線香花火が光る。




「…私たちさ、いつまでこうしてられるのかな」




珍しく淋しそうな顔をして、凛子が呟いた。





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