自分らしく

1‐4

「珍しいよな。
この男ばっかりの定食屋にひとりで飯食べるの。」


隣の水野さん?(さっき鉄平さんが水野君って言ってたし)が急に喋りかけにきた。

どこかで見たことがあるんだけどな。
どこだっけな。


「う~ん。どこかでお会いしましたっけ?」


「俺もよくここに来てるけど、ここ以外では会ったことない。」


「う~ん。
なんで、目深に帽子かぶってるんですか?あやしいですよ。
せっかくのお顔がもったいない。」


あれっ、急に照れだした。かわいい。


「照れてます?」


「…。
今日は誰もいないから帽子脱ぐわ。
やっぱ食べにくいし。」


水野さんは帽子と一緒に眼鏡も机の上に置いた。


「あれっ、眼鏡も?」


「これ度入ってないし。」


「変装しているみたい。やっぱり警察に追われているんじゃ。」

(やっぱりあやしいなあ。)


「追われてねえよ!」


「やっぱり、帽子脱いだほうがいいですよ。かっこいい。」


「あんまりジロジロ顔見んといて。」


はははっと、爽やかな笑顔で笑う。
やっぱりかっこいいなあ。








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