自分らしく
「それにしても、いつもよく食うよな。
ここの定食、普通より量が多いよ。」


「鉄平さんの料理で栄養補給してるんです!

いつもよく食うって、いつも見てるんですか⁉︎
もしかして、ストーカー…」

ちょっと後ずさり…

「違うわ‼︎
おたくは目立つの!
女の子が1人で定食屋にやってきて、男並みの量食べてる。
ここの客はみんな見てると思うけど!」


「うそ‼︎
鉄平さん、奥さん、いつもみんな見てます?」


「ははは。見てるね〜。
僕も始めはびっくりしたからねぇ。」


「大丈夫よ、ひかりちゃん。
みんなびっくりしてるけど、好意的な目をしてるから。」


「奥さん、なんかフォローになってないような。」


(みんな見てたんだ。
うー。恥ずかしいなあ。)


「いつも出し巻き卵も一緒に頼んでるよな⁉︎」


「鉄平さんの作る出し巻き卵のファンなんです‼︎
ほどよい甘さとフワフワ感、好きすぎて、毎日食べても飽きないぐらい。

あっ、水野さんも頼んでましたよね⁉︎」



「ああ。
ククク。俺もファンだから。」


水野さんがふわっと微笑みながら言った。
とても優しい顔。



それから、水野さんとたわいもない話をした。

水野さんはS系かと思うくらいいじられたけれど、いっぱい笑えて楽しかった。

話すリズムも心地良く、そして聞き上手で、お兄ちゃんがいたらこんな人がいいと思った。


たまに見せる笑顔にドキッとしたけれど…



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