幾年時紀
だけど、僕にそれを聞くことはできなかった。
必死に守ろうとしているみたいて、それを壊すだなんて、僕にはできない。
ただ、彼女の声に耳を傾けよう。
『ここは。ね。【忘れられた土地】なの』
『は?……え?』
いやいやいやいや!
耳を傾けるだなんていったけども、そんな事言われたら反応しちまうよ……ええ。
『【忘れられた土地】……?』
瞬間、心は暗い表情をした。
聞かない方が良かっただろうか。
『……えぇ。ここは、【忘れられた土地】住人はおろか、人なんて私しかいないわ。
いえ、私はひとではないかもしれない』
心はそういった。
僕には理解出来ない。
人じゃない?
心が?
そんなわけがない。
『心?僕はさっき、心の髪を触れたよ?心は、人じゃないの?』
僕の言葉に心は、くるしそうな顔をした。
< 10 / 11 >

この作品をシェア

pagetop