幾年時紀

一人の、重そうな和服を着ている小さな女の子がいた。
華奢な体に長い美しい黒髪。
いや、本当に長い。長すぎる気もする。
地べたにベッタリとつくくらい長い。
うわ、本当に長い。
『初めましてだのぅ……若僧よ』
見た目よりも、年上なのか、随分と婆臭い話し方をしてきた。
『若僧よ……お主には、私が何歳に見えるかのぅ？』
な、なん、なんだこいつ！！！
こういうのは、関わらない方がいいに決まってる。
そうと決まれば僕は、すぐさま方向転換し、女から離れようとした。
が、しかし。
『悪かったわよ。普通に話すわ。
だからまぁ、あんたも、人の話を聞きなさい』
年相応な話し方ができるようで、地味にびっくりした。
『いや、話を聞くも何もさ、いきなり婆臭……ナンデモナイデス。ハナシキキマス』