あなたが私にキスをした。



僕はいったい何をやっているんだろう。



胸を締め付ける罪悪感と自己嫌悪。

レイカを失った悲しみをこの幼い少女に押し付けて、いったい誰が報われるというのか。

熱くたぎっていた欲望が解放されたあとの少し冷えた身体を、僕は静かに彼女から離した。

「…ごめん」

僕の言葉に彼女は小さく首を振った。

そして、まるで小さな子どもをあやすように僕を抱きしめて、そっと背中を撫でてくれた。

18歳の少女と、20代も後半にさしかかろうという僕。

はたから見たらきっと僕は、とてもこっけいな大人だ。



だけど今は

彼女の優しさに甘えていたい――。

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