あなたが私にキスをした。
*
「…愛しているよ、レイカ」
耳に残る切ない声と、唇に触れた熱い感触。
目を開けると薄暗闇の中に、美しい涙を流すあなたがいた。
どうして泣いているの?
誰を想って泣いているの?
私はあなたの頬に手を伸ばして、大切なものを拾い上げるようにその涙を拭った。
するとあなたは、目をまん丸に見開いて、しばらく声も出せずに私を見ていた。
「…キミは、いったい…!?」
私は小さく首をかしげる。
どうしてそんなに驚いているの?
「うそだ、まさか、そんな…」
そう言ってあなたは、私の頭の先から足の先まで何度も何度も見つめた。
私は薄暗いアトリエの中央に立っていた。
着ているものは白い薄手のワンピースだけで、他には帽子も靴も何もない。
ぐるりと周りを見回すと、たくさんの透明な彫刻たちがアトリエのあちこちに並んでいる。
私は小さな台座からぴょんと降りて、その作品をひとつひとつじっくり眺めた。
アトリエを照らすわずかな照明に、キラキラと輝く作品たち。
人差し指で少しだけ触れると、
ひんやりとしてそれが氷から作られたものだと分かった。
鳥やライオン、天使や花など、ありとあらゆるものがある。
私がそれらの作品を食い入るように見つめていると、
いつの間にか
あなたは私の隣に立っていた。
「さ、…寒くないか?」
そう言われてみると、少し寒いような気もする。
意識したせいかなんなのか、
くしゅん、
と小さなくしゃみがひとつ出た。
するとあなたは身につけていたマフラーを優しく私の首に巻きつけて
「おいで」
そう言って私の手を引いてアトリエを出た。
「…愛しているよ、レイカ」
耳に残る切ない声と、唇に触れた熱い感触。
目を開けると薄暗闇の中に、美しい涙を流すあなたがいた。
どうして泣いているの?
誰を想って泣いているの?
私はあなたの頬に手を伸ばして、大切なものを拾い上げるようにその涙を拭った。
するとあなたは、目をまん丸に見開いて、しばらく声も出せずに私を見ていた。
「…キミは、いったい…!?」
私は小さく首をかしげる。
どうしてそんなに驚いているの?
「うそだ、まさか、そんな…」
そう言ってあなたは、私の頭の先から足の先まで何度も何度も見つめた。
私は薄暗いアトリエの中央に立っていた。
着ているものは白い薄手のワンピースだけで、他には帽子も靴も何もない。
ぐるりと周りを見回すと、たくさんの透明な彫刻たちがアトリエのあちこちに並んでいる。
私は小さな台座からぴょんと降りて、その作品をひとつひとつじっくり眺めた。
アトリエを照らすわずかな照明に、キラキラと輝く作品たち。
人差し指で少しだけ触れると、
ひんやりとしてそれが氷から作られたものだと分かった。
鳥やライオン、天使や花など、ありとあらゆるものがある。
私がそれらの作品を食い入るように見つめていると、
いつの間にか
あなたは私の隣に立っていた。
「さ、…寒くないか?」
そう言われてみると、少し寒いような気もする。
意識したせいかなんなのか、
くしゅん、
と小さなくしゃみがひとつ出た。
するとあなたは身につけていたマフラーを優しく私の首に巻きつけて
「おいで」
そう言って私の手を引いてアトリエを出た。