あなたが私にキスをした。
ば、ばれてる…。
仕方なく私がゆっくりと扉を開けると、ユヅキくんは驚いたように目を丸くした。
「え、レイカさん!?帰ってきたの…?」
「あ、いや、あの…」
なんと答えていいか分からず口ごもる私を見て
「妹だよ」
と、トキワが言った。
「…あぁ、どうりでよく似てる。びっくりしたよ」
「はじめまして」
私はぺこりと頭を下げた。
「はじめまして。きみかわいいね、名前は?」
「えっと、トーコ…です」
ドギマギしながらそう答えると、トキワが不機嫌そうに眉をひそめた。
「おい。兄の婚約者の妹を口説こうとするなよ」
「『もと』婚約者の間違いでしょ」
「べつに別れたわけじゃない」
別れたわけじゃない、
でもレイカさんはなぜか突然トキワの前から姿を消した。
いったい二人の間に何があったのだろう。
未だにそれを聞けないままでいる。