あなたが私にキスをした。
「トーコちゃんは、お姉さんの居場所知ってるの?」


と、ユヅキくん。



「あ、いえ…」

「そっかー、それでお姉さんを探すために『もと』婚約者のところに来たってかんじ?」

「だから『もと』は余計だ」



ぐいぐい詰め寄ってくるユヅキさんの首元を掴んで、トキワは私とユヅキさんを離した。



「トーコちゃんは、今日はもう帰っちゃうの?」

「あ、えーと」



私は返答に困ってトキワに視線を送る。

弟さんが来たのなら私はもう、ここにいないほうがいいのかもしれない。



「しばらくここにいる予定だよ」



トキワの答えに、私はほっと胸をなでおろした。



「ふーん。じゃあさ、なおさら俺も泊めてよ。こんな野獣と二人きりじゃトーコちゃんが心配」

「だれが野獣だ…」



そんなわけで、わたしとトキワとユヅキくんの奇妙な三人暮らしが始まった。


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