あなたが私にキスをした。

「とーおーこーちゃんっ」



――げ。



後ろから、わっと驚かすように現れたユヅキくんを見て思わず顔をしかめてしまった。



「そんなあからさまに苦い顔しないでよ。さすがに傷つく」


そう言って苦笑するユヅキくんに、ちくんと胸が痛む。


「ご、ごめんなさい」

「せっかく俺が買ったワンピースも全然来てくれないしさ」

「それは・・・」

「今日は着てくれるよね?」



くしゃっと笑うユヅキくんはとても無邪気で、そんな笑顔を向けられたら断れなくなってしまう。


久しぶりに、あの日買ってもらったワンピースに袖を通した。


…本当は足がスースーするから苦手なんだけどね。

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