あなたが私にキスをした。
――side トキワ
トーコ、まだかな。
冬の空は、暗くなるのが驚くほど早い。
早朝から仕事をしていたというのに、展示作品を作り終え、日中にも実演を行ったりしているうちに、いつの間にか月が空に浮かんでいる。
「では、いよいよライトアップしまーす。3・2・1…」
スタッフの声をともに、薄暗かった展示スペースに色とりどりの光が差し込む。
何度も打合せして決めた光の配置、色、光度。
どれも作品を上手くひきたてている。
まるで宝石箱を開けたようにキラキラと輝くその光景に、自分の作品ながら、思わず魅入ってしまった。
「わぁ、きれい・・・」
感嘆の声を漏らして、きらめきの間から姿を見せたのは、ずっと待っていた、トーコだ。
あぁ、やっぱり。
僕の作品の中で、彼女がダントツに美しい。