あなたが私にキスをした。
「遅かったね、待ってたんだよ」
「楽しみは、最後にとっておきたくて」
彼女のくすぐったい台詞に、愛おしさがこみ上げてくる。
彼女は僕の作品を、ひとつひとつじっくりと見て回った。
その瞳がキラキラと輝いているのを見て、僕のほうが引き込まれてしまいそうになる。
「あれ、なんだかこの作品は雰囲気が違うね」
ふと、ある作品を見て彼女が言った。
「あぁ、それは別の人の作品だよ。そこから向こうは別の人の作品スペースになってるんだ」
「あぁ、どうりで…」
彼女は納得したように頷いた。
その時、
「ようこそ、ボクの氷彫刻の世界へ」
僕の苦手な声がして、その男が現れた。