あなたが私にキスをした。

世界大会。

望むところだ、最初から優勝をねらっていたのだ。



「な、なんか、わたし…勝手にけんか売っちゃった、かな」



突然、いつもの気弱なトーコに戻ったのを見て、思わずふっと笑いがこみ上げた。



「ひ、ひどいっ。なんで笑うの」

「いや、べつに。それに、もともと優勝するつもりで参加してるから平気だよ」

「そっか」

「その大会、優勝すれば海外での大きな仕事をもらえるんだ」



すごい、と言ってはしゃぐトーコは、まだ大会が始まってもいないのに僕の優勝を信じて疑っていないのだろう。

とても純粋で、まっすぐな思い。




「ありがとう」


「え?」



「トーコの言葉、嬉しかった」


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