あなたが私にキスをした。

どくん、




どくん、どくんどくんどくんどくんどくん。







心臓がせわしなく脈打つ。


数ヶ月ぶりに見るその姿。

でも間違いない、いや、間違えるはずがない。

ずっと、ずっと探していた



――レイカだ。





彼女がこちらに目を向けて、はっとしたように駆け出す。




「トキワ、はやく、追いかけなくちゃ!」


そうさけぶ、トーコの声が遠く聞こえる。




追いかけたいのに、なぜだろう、足が動かない。

追いかけて、追いかけて、はやく彼女を捕まえなくちゃ。



…捕まえてどうする?


彼女になんて言えばいい?

どうして急にいなくなったの?戻ってきて欲しい?愛してる?







…あいしてる?

僕は、だれを――?


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