あなたが私にキスをした。
「トーコは悪くない、ぼくのために追いかけてくれてありがとう。一人で暗い中迷子になって怖かったよな、ごめんな、すぐに見つけてやれなくて」
そう言うと、トーコはいっそう声をあげて泣いた。
愛おしい、
愛おしい、愛おしくてしかたがない。
このか弱くて、優しくて、だけど真っ直ぐで強いこの少女が。
苦しいほどに、愛おしくてしかたがない。
そう思った瞬間、
一瞬だけトーコの身体が透明になったような気がした。