あなたが私にキスをした。
机のまわりに見当たらない?
そんなはずはない、なくさないよう、わかりやすい場所においていたんだ。
いや、でもトーコの言うとおり、見つけられなかっただけなのか?
「ちょっとみてくる」
そう言って、早足で部屋へと向かう。
ない、
ないないないない!
昨日は、確かにここにあったのに…!!
「どう?あった??」
「いや…みあたらない」
「そ、そんなわけないよ。もっとよく探してみよう」
トーコと二人で部屋中を必死に探す。でも、いっこうに図面は見つからない。
気が付くと、出発の時間が迫っていた。
「しかたない、時間だからもう行こう」
「でも」
「これだけ探しても見つからないんだ。あきらめるしかないだろ」
深呼吸を一つ。
だいじょうぶ、
図面がなくたって、完成図はちゃんと頭の中にある。
「安心して、トーコ。図面がなくたって、最高の作品を作って、必ず優勝してみせる」
僕の言葉に、トーコは力強く、うなずいてくれた。