40年目の奇跡

一本の電話

ユースホステル、年齢問わず、少し英会話できる方、経験者優遇。
しかも3人。これならなんとか行けそうだ。8t免許もある。
コペンでの経験もある。面接は大いに盛り上がりました。

採用を確信して次の座談会に体験発表が決まりました。ところが
1週間後、不採用の手紙。「間もなく題目100万遍、嫁さんは
早々と職が見つかりましたが私はまだまだ見つかりません。次の
座談会(6月)までにはかならずみつけまーす!」になりました。

職安では人材センターを紹介されました。自分の
特技や資格、趣味、希望時間などを細かく登録しておきますとセンター
から随時連絡が入ります。保険もついています。ところがなかなか
仕事がありません。座談会から1週間後、人材センターに登録を済ませ
た帰り道、突然携帯に電話がかかってきました。「ムラオカ?」

「もしもし松村さんですか?ムラオカです。その昔アルバイトで糸鋸を
教わったムラオカです」
「ああ、ムラオカ君、ロックバンドやってた」
「そうです。松村さん、今何してはります?」
「ハローワークで仕事探してるんやけどなかなか・・・」
「ああよかった。ぜひうちの木工所手伝いに来てください。お金は
いくらでも出します。できるだけ早く。お願いできませんか?」
「ちょちょちょっとまて。なんでやねん?」

「3年前に友人のデザイナーと協力して結婚式場の内装パネルを制作
したところ反響がすごく、昨年広島の高級ホテルの式場の契約がまとまり、
デザイン、パネル設計図ができてみると、45cmx45cmx1cmの
檜集成材を約1000枚この2か月で切らねばならぬということになり、
そこで思い出したのが今年の年賀状でした!」

「なるほど、そういうこと」
「そう言うことです」
「わかった、この連休は?」
「やってます」
「よし、嫁はん連れて明日行くわ。工場はどこ?」
「できたばかりのトンネルの手前の信号を左折したところです!」
と言うわけで、ほんまかいなと思いつつ、
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