オトコなのにオンナ……なのにオトコ!?
俺の前にはブラックのホットコーヒー。
「姫奈大人やんね~」
そう言いながらタバコを肺に入れるアズはミルクティー。ピエちゃんは…何故か特注?らしいただのレモン水を飲んでいる。
喫煙はビタミンCを破壊するんだとか。だったらやめりゃーいいのに。
…………。
俺はと言うと、アズの手元が気になって仕方がない。いつだったか和樹とどこかのおっさんが捨てた"しけもく"を拾って興味本位で咥えた事はあったけど……あれは酷かった。
二人して涙目でしばらくむせてたっけ。
そんな出来事があったから一生タバコなんて吸うかって思ってた筈なのに。
旨そうに吸う二人を見てると俺だって背伸びしたい訳で……。
窓の外を見つめる。今日もモスグリーンのワンピに丁寧に梳かした髪が天使の環を作っている華奢な、まぁるい瞳の女の子がいる。
もう少ししたら、俺は姫奈を壊してしまうかもしれない。
それでも、衝動には逆らえなかった。
「アタシにも……貰えるかな?」