オトコなのにオンナ……なのにオトコ!?



「マジっ?全然いいけど。じゃあ姫奈も仲間な~」



ピエちゃんは嬉しそうに俺にタバコを手渡した。きっとこの二人も少数派で、仲間がいないんだろうな?なんてちょっとだけ思ったけど嫌な気は全然しなかった。



きっと、俺にも似てる所があるんだろう。知り合ったばかりの二人だけどこんなに居心地がいいんだから。



「へぇ~。ますます姫奈を好きになりそうやわ」



アズが注文したハムチーズトーストをほおばり満面な笑みを更にほころばせて言う。



「火ぃ付けてやるよ」



ピエちゃんに言われて大人しく口にタバコを咥えてみた。ほのかに鼻につんと来る香り。そういえばパッケージにはメンソールと書かれている。



「姫奈、吸わな火はつけへんで?」



そんなものか?待ってちゃいけないのか。



すぅーーーーーーーーっっ。



げほっ、げほっ。



喉をありえない勢いで煙が駆け巡る!!!



いや、負けるか。もう一回!!



すぅーーーーーー。



はぁーーーーーー!?



吸えた???



はらはらしてこっちを見ていたらしい二人と目が合う。思わずピースサインの俺に二人は笑顔で迎えてくれた。




「やるじゃん!これからは誘うし」



「うちらの周りみんなタバコ吸わへんから嬉しいわ」



ちょっとだけ、大人に……いやオトコになった気がした。



こんな俺日本じゃ見せられねーし、家だってぜってー無理!!



この日初めて「素」を見せられる場所が出来た気がしたんだ。



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