オトコなのにオンナ……なのにオトコ!?



思ったとおり、別にパリに来たって何にも変わらへんかった。



あたらしいおとんは案の定失敗ばかりで店を転々をしとったし。おかんはそんなおとんを支えるため仕事に出ていたけど……何をしてるのか掴めへん。



3人を養うだけのお金を持ってくる。おかしいやろ?言葉も通じへん国で。



嫌な妄想ばかりしてしまうからもう聞かないことに決めたんや。



たぶんギャンブルやけどな。



そんなある日



いつものように家の近くの公園で時間を潰しとったら変な外人が声かけてきてん。



「同じ学校だよな?俺はピエール。ヨロシク!」



こんな奴おったっけ??それが第一印象。



つーかめっさ日本語上手やん!!



「うちはあずみ。アズでえーよ?」



流暢な日本語は日本で育ったからなんだとか。人にあんま干渉せぇへんけどなんか抱えてる奴なんやろうな、とは思った。



カチッ。



慣れた手付きでタバコをつける奴に思わず話しかけとった。



「なぁ、ピエちゃんとやら?うちにもくれへん??」



「ピエちゃんってなんだよ!!……ま、別にいいけど」



甘いマスクなのにぶっきらぼう。でも心は優しい奴なんだと思う。



学校の奴らとは別につるまんくてもいい。ピエちゃんと放課後だらだら過ごすのがうちの日課になっとった。



ここにおる限りずっとそうなんだと思っとった。



なのに……



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