オトコなのにオンナ……なのにオトコ!?



「レア先生!!」



アズは初めて見るかもしれないキレイな笑顔で先生に抱きつく。



「アズ、元気?顔色は……いいみたいね。サイシンはどう?」



「せんせ、それを言うなら最近やで?」



「ごめん。日本語難しいから」


小さく手を合わせて謝る先生はなんだか可愛らしい。年は夢奈さんと一緒ぐらい?優しそうな瞳が印象的な落ち着いた感じの人。


また相談乗ってな?とひとしきり話が終わったあと二人は同時に俺の方を向いた。



「姫奈、初めまして。アズから話は聞いてるの。どうぞ」



「初めまして……」



ってアズの奴……一体何話したんだ!?



「レア先生はうちの恩人なんや。だからたぶん姫奈を救えると思う。」



俺を……救う?



何言ってんだ!?全然意味わかんねーんですけど。



そんな頭がうに状態の俺を置いて「じゃ、あとでな!」とアズは去っていってしまった。



「アズは強引だからね~でもいい子なの。ああやって日本語も教えてくれるし」



いや、あれは関西人アズのただの突っ込みです……先生!!



とは言えずに。



姫奈モード全開の俺は視線を左下にそらす。これは俺の努力の末完成したその名も”憂いの表情”



ちなみに、オプションで小さく溜め息を添えると更に悩ましげな姫奈になる。



「ま、とにかく座って!」



訳の分からないまま……俺は先生の向かいに座らされた。



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