オトコなのにオンナ……なのにオトコ!?
確かに……さっきは溢れるみたいにイメージ湧いてきたけどさ。ボーカルさんの目の前で歌えって言われても。
「姫奈!うち聞きたいわ」
「そう言われても……」
俺に歌わせる意味がわかんねー。
困っている俺に「ゴメンゴメン」と笑いながら帝さんが言った。
「説明無しじゃ困るよな?こいつ今日が最後だったんだわ」
ボーカルさんが頭を掻く。
「下手なりに頑張ってきたんだけどな、一向に巧くなんないから諦めた」
「で……姫奈ちゃんに白羽の矢を立てたって訳!!」
俺が……ボーカル!?何を根拠に矢が飛んできたんだ!?
「あのっ!!」
そんな中、突然大声を出したのはアズだった。