オトコなのにオンナ……なのにオトコ!?
頭に浮かぶのは俺の心の師匠。「Ruvie」のボーカル手鞠の声。
あんな風に切なく、力強く、歌いたいって思って生きてきた。
ありえねーって思ったのに……このチャンスをムダにしたら俺は一生アズに笑われるだろう。
「さっきの曲やってもらえますか?」
急に低くなった声にルフィのメンバー全員が一瞬固まる。
やばっ、しゃべりはマズかったか??
「いい声してんじゃん!」
今まで口を開かなかった窮さんがにやりと笑った。
俺も負けずに笑い返す。
カッカッカッ…………ダダダ。
イントロを聞いただけでさっき思った歌詞が自然と浮かんでくる。
♪~往く事も退く事も出来ずに、俺はただこの街の風景~
もう止められない。
心のままに歌うだけだ。