オトコなのにオンナ……なのにオトコ!?



硬直する和樹をよそに俺はくっつくのを止めない。



和樹は気を紛らわそうとしてるのか真剣にDVDを観て話しかけてくる。



「クラスの女子もさ、バンド好きな奴多いみたいなんだよね?」



「うん。じゃあアタシと一緒だね♪」



「俺もちょっと勉強するかな」



「アタシの好きな曲はこれだよ?」



ちょうど、「星屑」の演奏が始まる所だった。



♪~明日からは僕には僕の、君には君の日々が来て……



「姫奈?」



「なぁに?」



ちゅっ。



降ってきたのはおでこへの……優しい優しいキス。



「俺はヤだから。俺には俺、姫奈には姫奈の日々なんて……絶対嫌だから」



全身の力が抜ける。



♪~それに慣れるまでの少しの間、涙する事もあるでしょう……



「慣れれねーし!!恥ずかしいけど俺一人になると泣きそうだし!!」



俺もそうだって伝えるように、ぽんぽんと頭を撫でると引き寄せる手の力が更に強まった。



「いい?」



え??



今度は口へのキス。



気がつくと和樹の表情がすっかり変わってしまっていて……



いいって!?



……まさかアレですか???




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