オトコなのにオンナ……なのにオトコ!?
いやっ。
ちょっと待て和樹。
俺にも心の準備ってもんが!!!
そら確かに小6の時だって奈緒とかマセた奴は経験済みだったけど……俺だって和樹と妄想したことはあるけども!!!
だけど。
和樹の唇が耳に触れた瞬間。
俺の理性はあっけなく飛んだ。
それは……こっそりHな本を覗いた時や、深夜番組で見てしまったシーンの様な淫靡なものでは無くて。
優しい
あったかい時間だった。
たどたどしく俺の肌を触る和樹の手は魔法でもかかっているかのようで
俺の心の鍵を解くように、何度も揺さぶる。
「愛してるよ?」
「アタシも……だよ」
心と体が繋がる事。
それは、まだ幼い俺が初めて知った本当の愛の形だった。
……但し、愛は優しいけれど、激しく痛いものだと言う事も同時に知ったのだった。
やっぱり俺、オトコがいいや。