オトコなのにオンナ……なのにオトコ!?
「樹の時はさ、この間のしゃべりのが好きだな?あっちの方が合ってる気がするし」
そう最初に口を割ったのは皐だった。
「お前が良ければ俺達はオトコのボーカルとして樹を受け入れたい」
綺麗な長い黒髪で表情はよく見えないが帝が言ってくれた言葉は願ってもない事で。
窮はというと相変わらず無口なまま成り行きを眺めている。
「樹!!オトコがすたるで??」
俺は……まだ上手に切り替えが出来ないから、いつもアズに助けられる。
アズからしてみれば本当は全時間「樹」でいればいいのに、って事なんだろうけど。
「こんな小さい俺でいいんですか?」
「ちっちぇーオトコなんていくらでもいるさ」
金髪に童顔、笑顔が眩しい皐がカラカラと笑ってそう言った。
「その代わり、オンナだからとか弱音は吐くなよ?ま、家庭の事情ぐらいは考慮してやるさ」
そう言ったのはいつも俺様な帝だけど……いい奴じゃん!!
丸く収まったのを察して窮が立ち上がった。
「やるか??」
「はいっ!!!」