オトコなのにオンナ……なのにオトコ!?



確かに……分かってた。



覚悟もしてきたつもりだった。



でも言葉にされるとどうしようもなく切なくて……。



「そっか。そうだよな?……で、いつ??」



「まだ決めてへんけど」



こんなにたくさんの「俺」をアズから貰って……日本へ帰る友に何が返せる?



俺に出来る事。



俺が持ってるもの。



「なぁアズ!!さっき帝が言ってたろ?俺のお披露目初ライブ、7月にやるって!!それまでいてくれよ!!」



「ちょっどうしたん。急に。そりゃ見たいけどやなぁ」



「じゃあ決まりな!」



俺は無我夢中で急いで家に帰った。



「……一体なんやのん?」



怒涛のダッシュで駆け抜けた姫奈を見送り一人残されたアズは……公園で買ってもらったレモンティーをすすりながら呟いていた。



「あんなめっさオンナの顔で帰ってきたと思ったら、今度はうちの大好きな樹で……」



「嫌いになろうと思ってんけどな?……無理やわ」



「あと、1ヶ月かぁ」




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