オトコなのにオンナ……なのにオトコ!?



そんな姫奈とまた話すようになったのは最悪な俺の失態だった。



高学年になっても奈緒は俺の事好きだったらしくて告白されたんだよな。



……で、まだ未練がましく姫奈を好きだった俺は断った。(エライだろ??)



「姫奈が好きだから付き合えない!」


カッコよく決まったと思ったのにさ。



したら逆切れした奈緒がいきなりスリッパ投げつけてくんの。下駄箱の隅にいたから避けられなくてさ……左目に直撃。



よりにもよって姫奈がそれを見ちゃってたんだよな。



俺さ、あんなに酷い事言っちゃったのに保健室まで運んでくれて、それからも毎日看病してくれて。



苦手だと思ってたのに料理まで作ってくれてさ。



思い出すだけで恥ずかしいけど、凹んでる俺をぎゅって抱きしめてくれたんだ。



あったかくて、柔らかくて……。



俺やっぱり姫奈の事好きだなって思ったよ。



でも口には出せなかった。黙ってたら幼なじみの友達でいられるじゃん。



俺なんてバカだし何のとりえもないし、第一姫奈を傷つけたし。



姫奈が単に優しいだけで俺なんか好きになる訳ないってそう思ってたんだ。



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