オトコなのにオンナ……なのにオトコ!?
その日……珍しく俺は黒のキュロットにTシャツ(フリル付きとはいえ、これでもクローゼットの中では一番普通)の服に身を包んだ。
「Tシャツって普通木綿の布だけじゃない?」
そんな俺の問いかけに
「それじゃ可愛くないし。こっちのがオンナらしいでしょ??」
そう、至って普通のTシャツにまでレースやらリボンをつけるのは母親の仕業だった。
「姫ちゃん!!それじゃ地味だから頭にこのおリボンをね……」
可哀想だが聞こえなかったふりで家を出る。
向かうのは和樹の家。
ちょっと前まで話してたんだよな?
ありきたりな京都、奈良の修学旅行。
それでも、一緒に回ろうとか夜二人きりになりたい……とか。
それなのに……
俺はうまく話せるだろうか??