四色恋模様





「………」



「………」







じ、地獄。





私はまさにそう感じていた。



無言、無言、無言。




ひたすら無言。




ギュッとカバンを持つ手の力を強める。



なにか言わなくちゃ。

いつも通り、自然に普通に今までどおりに。私と結人らしい会話を。




「ね、ゆい「なぁ、なな」



声をかけた瞬間、結人に遮られた。


「なに?」



愛想よく、笑いながら聞くけど……絶対わざとだろ〜!



カチンときたのはバレなかったみたいで、結人はこっちを見てきた。





「もう、偽の恋人関係終わらそうぜ」


「え、いきなり?なんなあったの?」




舞花とせいに何か進展でもあったの?


ドキン、と心臓がなる。


しかし結人は首を横に振った。



「違う、俺たちがこうしてるだけ無駄だ。それにせいは舞花の事をあんまり意識してないみたいだしな」




「それじゃー」



もう応援しないってこと?何もしなくていいってこと?




「なな、お前に頼みがあるんだ」



結人のいつもに増して真剣な声が緊張感を高める。








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