四色恋模様





「…後はやっておくから、ななは帰って」



沈黙を破ったのはせいだった。



「ううん、私がやって「いいから帰って」




低く有無を言わさない声でそう遮られ、私はもう何も言えなかった。





「分かったよ」





仕方ない。こうなったらもう2人で一緒の空間にはいたくない。



私は自分の席に行って鞄を持ってさっさと教室を出た。


せいの方は一度も見ずに。




「あ」



「おう」




下駄箱に行くと、なんとそこにはユニフォーム姿の結人がいた。



なんて今日はタイミングが悪いんだろう。




「それじゃ…」



なんとなく気まずくてそそくさと結人の横を通り過ぎ用とした時



「お、おい、待て!」



そんな言葉と共に手を掴まれた。


私はピタッと足を止めて振り返る。
結人は真剣な目でこっちを見てくる。





なんでだろう…。まるで知らない人みたい…。



じっと2人で見つめ合う時間が続いた。



最近よく思う。4人はもう幼馴染でもなんでもない他人になりつつあるんじゃないかって。




何がそうさせたの?


恋する自分たちがそうさせたの?









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