四色恋模様
七色
「振られたよ」
満面の笑みとも言える表情で舞花はさらっと爆弾発言をした。
「…え?」
ドクン
まさか…まだせいは…。
嫌な考えばかり。私は何のために気持ちを殺して…。
グッと唇を噛んで言いたいことを飲み込む。
「聞いたよ。なな告白されてたんでしょ?」
えっ。
「そうなの?!なんで言ってくれないの!」
桃がこっちを見てキッと睨んできた。
せいの奴〜!
「だって、言えないもん。舞花の応援してるんだよ?」
私も負けじと桃を睨み返す。
言えるわけなかった。せいが私の事好きなんてまるで自惚れた発言。
「でね、まだせい君はななが好きなんだって言われたの」
舞花は淡々と言い続ける。
うそ…でしょ。
何かがこみ上げてきて目頭が熱くなった。
慌てて下を向いて顔を隠す。
「なな、ななの気持ちは?私もう分かってるからいいんだよ?」
優しい舞花の声が聞こえてくる。
その声に視界が霞んでいく。
だめ!舞花の優しさに甘えちゃ!
心の中でちゃんと分かってる。そんなこと。
「私振られたけど、それでいいって思ってる。だって、振られる覚悟で告白したもん」
「なな、舞花の言うとおりだよ」
桃まで優しい声でそう囁いてきた。
「出来ない…。私…舞花のことずっと応援してきたのに…今更好きなんてずるいこと出来ない…」
私には出来ない。大切な幼馴染の舞花の事を裏切るような事。
「なな!」
いきなり叫んだ舞花の声にビクッとした。
顔を上げると今まで見たことのない、初めて舞花の怒ってる顔を見た。
「私の事裏切るとおもってるんでしょ?私の事可哀想みたいな事思わないで!それの方がムカつく!」
む、ムカつく?
舞花からそんな言葉を聞くことになるなんて。
その迫力に涙も引っ込む。