四色恋模様
「もう行って!せい君寝ちゃう!」
舞花はドアを開けて無理やり私の背中を押す。
「ちょ、もう!」
私が文句を言おうと振り返った時
「せい君をお願い」
ボソッと耳元で囁かれて何も言うことができなかった。
呆然としたまま私は外に放り出された。
最後に見た舞花の顔…少し悲しそうだった。
やっぱり…私は舞花を…。
私は慌てて頭を振りその考えを消す。
ううん。舞花を信じてる。舞花の言いたいことも分かる。舞花の考えてることも分かる。
舞花が私に与えてくれたこの道を私が歩かないでどうする!!
私は気を奮い立たせて同じ通りのせいの家に向かった。
ピーンポーン
自分の家と同じチャイム音がする。
それからほどなくして、ドタドタと階段を駆け下りる音が聞こえてきた。
その音はどんどん近くなる。
それに合わせて私の心臓も緊張で速くなる。
「なな?」
ガチャッと勢い良く開けられたドアから出てきたのはもちろんせいだった。
「あの、話があるの。いい?」
控えめにそう言うと、せいは驚いた顔になった。
「あ、ああ…。中入って」
久しぶりにせいと話す。
あの時以来だ。
私はせいの後について行ってせいの部屋に入った。