四色恋模様




「で?何?」



パタン、とドアを閉めたせいがこっちを見てくる。





「あ、えっと…」




言わなきゃ。私の気持ちを。



今更かもしれないけど。





喉まで来てるのにあと一歩が踏み出せない。




これは私の悪いところだ。




ゴクッと唾を飲み込みせいの目を見る。



真っ黒な瞳は依然として私を見つめたままだ。



「なな」



口を開きかけた時、突如名前を呼ばれてまた口を閉じた。



「なに?」




久しぶりに聞く声…。






「俺、舞花に告白された」




「あ、そう」




知ってるけど、とは言えずそう答える。


てか、突然それ言っちゃうの?!




「でも、断ったんだ。なんでだと思う?」



その問いかけにドキッと心臓がはねた。




舞花の言う事は本当だと思ってるけど…そんな事改めて言われると…。



本当に私は自惚れた自意識過剰な人間なんじゃないかという気がしてくる。





「好きなんだ。ななが」




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