四色恋模様
「うちらはちっさい男の人だったよ」
上島先生の姿を探すけど、もういないみたい。
「じゃ、帰ろうぜ」
せいの声に私達は動き出す。親は別の部屋で保護者会の方の説明を受けてるらしい。
「そうだね。あ、結人はやっぱりサッカー部入るんだよね?」
さっきまでの話しを思い出して私は結人の方を見た。
結人は大きく頷いて、「もちろん!」と言った。
「でもなぁ、今年もななが応援くるのかな〜。たまには舞花にきて欲しいわー」
「なにそれ!失礼じゃない?!」
バシッと結人の背中をぶっ叩く。
どいつもこいつも!私をなんだと思ってるんだ!
「冗談!なないつもメチャメチャ大きな声で応援してくれるからサッカー部の皆んなから好評だったよ」
結人はヘラッと笑って私の頭に手を置いた。
身長が同じくらいだから、なんだか違和感があるけど。
「そ、そーなんだ。ならいいんだけど…」
好評…って、私そんなに大きな声出してたっけ?!
そう思われてるとなんだか恥ずかしい。
別に悪い事じゃないんだけど…。
「でも、舞花も応援に来てくれたら嬉しいわ〜」
こっちを振り向いていた舞花に、ニッと結人は笑った。
「あ、うん!行きたいなぁ!」
舞花はフワッと笑うとすぐにせいの方に視線を移した。
「はは…やっぱり舞花はせいばっかりだな」
結人の少し寂しそうな声にドキッとして横目で顔を見る。
切なそうな、でもしょうがない、と言っているような…不思議な表情。
う、嘘でしょ…。
私は1人妙な焦りを覚えた。
なに三角関係してくれちゃってるの?!
私、一体どうすれば…。