四色恋模様
知らない色
「今日の授業はここまで〜」
上島先生が教壇のうえで教科書を整えながら号令をかけるように日直に言った。
黒板にはつらつらと数字が書き並べられている。
まさか、上島先生が数学の先生だなんて…。あり得ないんだけど…。
学校生活が始まってもう1週間はたつ。
友達も出来たし、勉強もまぁまぁついていけている。
「舞花、ななおはよう」
「あ、桃おはよ〜」
呼ばれた声に振り返ると私の新しい友達、吉野桃がこっちに来ていた。
長い髪を2つに結いた可愛らしい顔の女の子。
顔はあどけないけど、性格は割とサバサバしている。
「ねぇ、2人は部活どうするの?今日部活見学日だよね?」
「あ、そうだったね!でも、私達中学の頃も何もしてなかったから…」
舞花がね?と私にむけて困った顔で笑った。
「そうなんだよね、うちらは部活見学には出なくていいかな〜って思ってて」
「そうなんだ、まぁ私も部活やるつもりないけどね」
桃はフッと微笑むと、チラッと前の方を見た。
何見てるんだろう…?
桃の視線をたどると、クラスの友達と話すせいのところにたどり着いた。
「星太君ってさ、2人と幼馴染なんだよね?」
「へ?!う、うん!」
桃が視線をこっちに戻したので慌てて私も視線を戻した。
視線追ってたの…ばれてないよね?
「いきなりどうしたの?桃ちゃん」
舞花が心配そうに桃に聞いた。
いかにも、桃がせいの事を好きなんじゃないか心配している顔だ。
その表情を見て、桃はププっと吹き出した。
「え!なに?!私おかしかった?」
舞花はオロオロして桃の服を掴む。
「違う違う」
桃はまだ笑いながら手を横に振って、服を握ってる桃の手に自分の手を添えた。
「私星太君の事好きとか思ってないから。舞花意外に星太君と釣り合う人なんてきっといないよ」
安心して、と言いながら舞花の手を服からそっと離す。
「え、え!私、まだそんな事ー」
舞花の顔はポポポポっと赤くなってついには下を向いてしまった。
流石、桃。鋭い。