四色恋模様




「私だから…ってどういうこと?」



桃の言っていることもよく分からない。
最近人の言ってる事がよく理解できない時がある。


桃は可笑しそうに目を細めて微笑むと

「秘密」


と人差し指を口にあてた。


「な、なんでよ!」



「え〜、きっといつか分かる時がくるわよー」



桃は楽しそうにクスクスと笑っている。
これ、完璧私をからかってるな!



「もーもー!!教えて〜!」



私が席から立って桃の肩をつかんで揺さぶっていると、教室に舞花が戻ってきたのが見えた。



「あ、舞花お疲れ〜!どうだったー?なんだってー?」



私はポイッと桃を離して舞花に向き直った。
舞花は少し恥ずかしそうな顔をしている。



「う〜ん、好きって言われたけど…ごめんなさいって言ってきた」



「そっかそっか。まぁ、いつもの事だからね」



私はうん、うん、と頷いてしょんぼりする舞花の頭を優しく撫でた。


優しい舞花は振った事に常に罪悪感を感じてしまうから。
私がいつでもそばにいて、大丈夫だと声をかけていなきゃ。



「ありがと、なな」


舞花は落ち着いたのか顔を上げてふんわりと笑った。



「ああ、本当舞花って可愛い!」



「うわっ!な、なな苦しっ」


つい舞花が可愛くてギュッと抱きしめてしまう。
悪い癖だ。






< 24 / 161 >

この作品をシェア

pagetop