四色恋模様
「私だから…ってどういうこと?」
桃の言っていることもよく分からない。
最近人の言ってる事がよく理解できない時がある。
桃は可笑しそうに目を細めて微笑むと
「秘密」
と人差し指を口にあてた。
「な、なんでよ!」
「え〜、きっといつか分かる時がくるわよー」
桃は楽しそうにクスクスと笑っている。
これ、完璧私をからかってるな!
「もーもー!!教えて〜!」
私が席から立って桃の肩をつかんで揺さぶっていると、教室に舞花が戻ってきたのが見えた。
「あ、舞花お疲れ〜!どうだったー?なんだってー?」
私はポイッと桃を離して舞花に向き直った。
舞花は少し恥ずかしそうな顔をしている。
「う〜ん、好きって言われたけど…ごめんなさいって言ってきた」
「そっかそっか。まぁ、いつもの事だからね」
私はうん、うん、と頷いてしょんぼりする舞花の頭を優しく撫でた。
優しい舞花は振った事に常に罪悪感を感じてしまうから。
私がいつでもそばにいて、大丈夫だと声をかけていなきゃ。
「ありがと、なな」
舞花は落ち着いたのか顔を上げてふんわりと笑った。
「ああ、本当舞花って可愛い!」
「うわっ!な、なな苦しっ」
つい舞花が可愛くてギュッと抱きしめてしまう。
悪い癖だ。