四色恋模様
「あっ」
この場で待って約10分、遠くの方でせいの姿が見えた。
高身長だからなんと言っても見つけやすさは格別。
すぐに結人の姿も見えて私はもう少し近くなるまでここで待っていた。
二人の姿がようやくはっきり見えてきた頃、何かがおかしい…。
私は違和感に気付いた。
2人はなにも喋らずただ隣同士並んでこっちに歩いてくる。
「おはよっー」
2人が玄関をドアから中に入った時、先に歩いてきたせいに挨拶した。
けど、せいは思いっきりスルーしてそのまま自分の下駄箱へ向かう。
へ?な、なに…?
クールなせいだけど無視なんてしない。
よっぽど怒ってる時以外は。
てことは…今怒ってるってこと…?
何に?
バン!!!と力任せに下駄箱の蓋を閉める音がしてビクッと体が震えた。
「ちょ、せいどうしたの?!」
後から来た結人に駆け寄って私は小声で尋ねる。
結人は困ったように眉を曲げて階段を上っていくせいの姿を目で追っていた。
「それが俺にも分かんないんだよ」
「え?なんで」
「しらねぇよ!」
結人も顔をしかめてちょっとイライラしているみたい。
「朝待ち合わせ場所に行ったら、もうあの調子。朝はおはよ、しかせいと話してないよ」