四色恋模様
「なな?!」
「は、はいっ?!」
結人のちょっと大きくなった声に私はビクッとした。
「なんか分かったの?せいの不機嫌な理由」
「あ…いや、なんも」
私が昨日不機嫌だったからなんて言いづらい…。
全力で首を振って否定すると、結人はまだ怪しそうな顔はしていたけどそっか、と納得したみたいだ。
よかった…。
ホッと心で一息ついてとりあえず結人と一緒に教室に向かう。
「本当、なんであんな怒ってんだろ」
結人まで不機嫌そうに口を突き出している。
「さぁね?せいには付き合うことにしたって私から言っておこうか?1日いたら機嫌も良くなるかもしれないし」
そうだといいんだけど…と心の中で付け足す。
「あ、じゃあ頼むわ。また後で」
「は〜い」
結人とは私の教室の前で別れて私は前のドアから教室に入っていった。
わっ!!!
何気なく顔を上げると、こっちを見るせいと目があった。
その目はどこか怒っているような…とりあえず不機嫌そうな目。
目があって2秒もしないうちにパッと逸らされた。
や、やっぱり怒ってる…?
私の昨日の態度のせいなのかな?
でも、私が不機嫌な時なんて今まで沢山あったはずなのに今回そんな特別に怒ることある?
私はせいの方を見ないように後ろの自分の席の方へ歩いた。