四色恋模様
「ただいま〜」
お?この靴…
学校が終わって家に帰ると玄関に見覚えのあるヒールの靴があった。
「せいママ〜!来てたの?!」
リビングに駆け込んで行くと、私の声にクルッと黒髪の女の人が振り返った。
「あら!ななちゃんこんにちは!」
ニコッと微笑む顔は舞花に微笑む時のせいの顔とそっくり。
美人で若々しい、せいのお母さん。
「どうしたの?珍しいね!」
私はカバンを持ったまませいママに駆け寄った。
「こら、なな!話したいなら先に着替えてきな!」
向かいに座っていたお母さんに怖い顔で睨まれ、私は素直に二階に上がった。
うちのお母さんはせいママとは大違いなんだから。
性格もお母さんに似て私はガサツだしね。
適当に部屋着に着替えてもう一回下に降りる。
「せいママ、今度新しい洋服見せて!」
「あら、いいわよ。舞ちゃんとななちゃんにあう服沢山あると思うから」
やったーー!と大喜びしてる私をせいママはフフ、と微笑みながら見ていた。
せいママはデザイナーさんで10代を中心にした女の子の服をデザインしている。
だから時々舞花と一緒に新しいデザインの洋服を着させてもらったりしている。
「いつもごめんなさいね。ただの幼馴染なのにお仕事場にお邪魔したりして」
お母さんは困った顔でせいママに言う。
それに対しせいママはゆっくりと首を横に振った。
「全然!モデルの代わりをしてくれて嬉しいし10代の女の子の意見を聞けるチャンスだもの。むしろ助かってるわ」
優しく私に微笑むせいママは、顔はせいを見ているようでも、雰囲気は舞花のように柔らかかった。
「せいママにそう言ってもらえるならもっともっとお邪魔しに行っちゃおうかなー?」
ニヤッと笑ってせいママの椅子に手をかける。
「あら、そう?そしたらせいも喜ぶわ」
「え?せいが?」
なんでせいが喜ぶんだろう。
「だって可愛い女の子が間近でファッションショーしてくれるんだもの。きっと喜ぶわよ」