四色恋模様



私は胸の前でギュッと手を握った。



目があうことなんて、10年前から当たり前な事なのにどうしてこんなに胸がざわつくんだろう。


ここ最近せいが急に話しかけてきたり距離が近い事があるからちょっと驚きすぎてたせいかな…。



私は玄関から離れて二階に上がった。


パタン、とドアを閉めてベットにダイブする。





私が人を好きになるなんてあるのかなぁ。


いずれ本当に付き合う人ができるのかな…。


恋愛経験も無くて舞花やせいの様にモテるような特別な人じゃないから好きな人とか付き合うとかまだ未知の話。


「好きな人…かぁ…」



そう呟いて目を閉じた。










真っ暗な場所にボンヤリと人のシルエットが浮かんできた。









それは徐々にはっきりと輪郭を持ち始めてくる。


誰?あとちょっとで分かるきが…。



「なな」




ハッ!!と目を開くとそこはベットの上だった。


私、目を閉じたら眠っちゃったんだ…。


時計を見るともう夜の7時。
そろそろ夕飯の時間。



ドキドキと鳴る心臓が今もうるさい。

だって、さっき「なな」って呼んだ声は…。



もしかして私は…。


ブンブンと首を振って思い浮かんだ一つの可能性を打ち消す。



違う、私に好きな人なんていない。
好きっていう気持ちもまだ知らない。


だから、これはただの夢…。









< 66 / 161 >

この作品をシェア

pagetop