四色恋模様
ここ1週間、わざわざ星太君を見に来る女子や舞花を見に来る男子やらで廊下側の席にいる私は迷惑していた。
珍しいもの見たさっていうのだろうか。
特別かっこいい人や可愛い人がいると聞いて他学年の人まで来ることがある。
「あのもう一人の女の子も幼馴染なんでしょ?なんかあの2人と比べちゃうとっていうか、なんか邪魔に見えるよね」
クスクスと笑ってななのことをののしる女子。
「あなたたち、自分の顔を見てからそれ言いなさいよ」
ギロッと女子2人を睨んで言う。
いきなり全く知らない人からそんなことを言われ、しり込みしたのか2人はササッと何も言わず帰って行った。
確かにななは普通だけどあんた達よりは断然可愛いわよ。
こころの中でそう言葉を吐き捨てまた3人の方を見る。
いつの間にか3人は…というか舞花がいなくなって星太君とななの2人が話していた。
珍しい組み合わせだな。
そう思いながらしばらく2人はの様子を見てみる。
「本当に、2人仲良いよねぇ〜」
!!
バッと後ろを振り返るといつの間にか舞花が立っていた。
「舞花…いつから…」
私はそこで口をつぐんだ。
舞花はななと星太君をじっと見つめていたから。
「せい君、私にも他の女の子でも男の子でも凄く優しくしてくれるの」
大きな目は何故かユラユラと揺れている。
「でも、意地悪したり…文句言ったりするのはななにだけなんだよ」
ずっと一点を見つめる舞花。
私はゆっくりとその視線を追った。
そこにはふざけあってる2人がいて
ななは不機嫌そうに顔を背けて、星太君は普段のクールな顔からは想像できない無邪気な子供っぽい笑顔で笑っている。
「いいなぁ…。ななは…」
ぽつん、と呟いた舞花はスッと横を通り過ぎて2人の元へ行ってしまった。