王宮の秘薬
4.再会
ヴェルズに来て一夜明けた朝、ステラはヴェルズの女性が纏う衣装を身につけ、王の間へ侍ろうとしていた。
ラズラエザで着ていた服と比べると窮屈だったがしかたがない。
昨日から慣れないことだらけで早々に疲れてしまっていた。
「陛下。ステラ様をお連れしました」
「入れ」
ステラは頭を下げたまま王の間へ入った。
横目で見ただけでも、客間の倍の広さはありそうな部屋だ。
「ラズラエザ王国王太子。ステラ・フローリア・シエラ・ラズラエザでございます」
「ヴェルズ王国国王。ディゼル・エドガー・ジェーン・ヴェルズである。顔を上げよ」
下げていた頭をゆっくりと上げる。
「……え」
思わず驚きが声に出てしまった。
「どうかしたか?」
「あ、いえ…。もっとこう……年上の方だと思っていたので……」
ディゼルは今年で25歳。ステラと6つしか離れていない。
戦時中にエドガー王が病死して、今の王は即位したばかりだと聞いてはいたが、享年78歳の先王の息子ならばおそらく50歳前後だろうと思っていた。
しかし、目の前にいるのは自分より少し年上くらいの王。
呆気にとられているステラの様子に、ディゼルに少し笑みをこぼした。
「まあ、私は先王の晩年の子だからな。無理もないだろう。レオ、下がっていろ」