狐と嫁と溺愛と
前にあたしを襲ったのはたぶんネズミの妖。



鬼なんて、小さい頃の昔ばなしにしか出てこないと思ってた。



「結婚の報告しねぇとな」

「こ、怖いの…?」

「ん〜…、うるさい?」

「そうなんだ…」

「他にもいるけど?」

「いいっ‼︎理解できなくなりそうだから…」

「狸は嫌いだ。あと、狼も」

「そんなにいるんだ…」

「人間に化けて、この世界で活動してるヤツは多い。金次たちみたいに、人間になりきれねぇヤツらは小さい集落に住んでる」



そんな世界が存在してるなんて、想像もしてなかった。



人間は滅多に足を踏み入れられない妖の世界が、どこかにあるらしい。



「なら大河さんは化けてるってこと?」

「そうなるな。なに?こっちの姿がご所望か?」



そう言って耳と尻尾、髪と瞳の色が一瞬で変わった。



これはこれでキレイすぎて直視できない…。



「モフモフ…。あっ、焦げたところ治ってる‼︎」

「あんなの治すくらいなんてことない」




すごい…。


< 108 / 582 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop