狐と嫁と溺愛と
そのままうとうと。



思っていたよりも深く眠ってしまったようだ。



「ナナ、具合はどう?」

「お母さんっ‼︎お母さんからもらった石のおかげで元気だよ‼︎」

「もうすぐね、誕生日」

「そうだね」

「ふふっ、幸せそうで嬉しいわ」

「そ、そうかな?」

「大好きよ、私のカワイイ子」



そう言って抱きしめられて、初めてお母さんの温もりに触れた気がして。



神様だかなんだか知らないけど、お母さんって…あったかい。



「ナナ、ナナっ‼︎」

「ん…?」

「どうした⁉︎なんで泣いて…」

「えっ⁉︎あっ…」



大河さんに起こされると、枕が少し濡れていた。



泣いてたんだ、あたし…。



「大丈夫…」

「どっか痛いとか?」

「ないよ、夢でお母さんに会って…なんだか嬉しくて…」

「そうか、なんでもないならいいんだ」



無性に大河さんに抱きしめられたい。



この思いを伝えたら、あたしと大河さんの関係はどうなってしまうんだろう…。



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